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漏斗胸とは
漏斗胸とは
漏斗=理科の実験などで使う”ろうと”又は家庭で使用している”じょうご”の様に胸の中央が陥没している病気です。発症原因は明確にはされていませんが、「肋軟骨が胸骨や肋骨(ろっこつ)の成長よりも速く成長し、左右両側から押されバランスが取れず真ん中の胸骨が陥凹する」などといわれています。男性の方が女性に比べ3~4倍多く発生するとも言われています。遺伝性(家庭内発生)があり、生まれつき陥凹がある子と徐々に現れる子がいます。 小児期では扁桃腺肥大やアデノイド肥大を合併している事があり、空気の通り道が狭くなり呼吸時に大きく息を吸い込む必要がある為に陥凹してしまいます。先にこれらの手術を行うと漏斗胸が改善されることもあるといいます。
漏斗胸の患児の多くは、胸板が薄い痩せ型で筋肉の発達が遅れており、自然と楽に呼吸をする為に円背(猫背)になり、脊椎側湾症(背骨の湾曲)になる事も少なくありません。基本的に漏斗胸の陥凹は進行するものなので、患児の症状としては心臓が左に押され、呼吸機能の低下がみられます。 また運動時の動悸・息切れ、易疲労、頻発する気道感染、不整脈などを引き起こすことがあります。
漏斗胸の治療法
漏斗胸の治療方法は、大きく4つの術式に分類されます。
① 胸骨拳上術
ラビッチ法
ラビッチ先生が始められたのでラビッチ法とも呼ばれています。陥凹の原因となる変形している肋軟骨を切り離し、胸骨の裏面に割を入れて楔状に切除し、残した内側の肋軟骨上に外側の肋軟骨を重ねて縫合固定します。成人例では補助の為に金属プレートをインプラントし胸壁を下から支える必要があります。また胸骨の固定に時間が掛かるのと傷跡が大きく残ったり、術後に扁平胸になるまでにとどまることや、再陥凹の頻度が高いといった報告もあります。
肋軟骨切除法(胸肋挙上術)
第3または第4肋軟骨から第7肋軟骨の過長部分を切除し胸骨に再縫合します。小児では全例に、成人でも陥凹の程度の高度なものを除いてこの術式を施行します。肋軟骨を大きく切除し一部の肋骨肋軟骨しか再建しない術式では、胸郭の成長を抑制することが散見されますが、この術式ではそのような心配はありません。肋骨肋軟骨の長すぎる部分を直接切除するので再度陥凹することもまれです。しかし思春期の身長が急激に伸びる時期に肋骨がまた長くなりすぎて陥凹が目立ってくることがあります。 漏斗胸の方は特に男性では痩せて背が高いことが多いために思春期に身長が急激に伸びて痩せてくると胸の変形がやや目立つことがあります。
② 胸骨翻転術
陥凹している胸骨と胸壁を切り離して、ひっくり返してから縫合する術式で、国内でも長い歴史があり世界的にも普及した術式です。また腹直筋や内胸動静脈を残存させる有茎性胸骨翻転術という術式もあります。低侵襲手術という観点からすると患者にとってリスクが大き過ぎるのではないかといった意見もあるようです。
③ Nuss法
Nuss先生が始められたもので術式としては一番新しく開発された術式です。胸骨挙上術の一種ですが、肋軟骨の切り取りを行う事なく2~3年のプレート留置によって胸郭を理想の形に挙上矯正されるといった術式です。あらかじめ矯正後の胸の形をイメージして湾曲形成しておいた金属プレートを、胸腔鏡という内視鏡を併用し、胸腔内を確認しながら側胸部(脇腹)の15~25mm程度の小さな穴から幅12~15mm程度の金属プレートを胸骨裏面に沿わせ、心臓、肺と胸壁の間に通します。そして胸骨の裏で180°回転させる事によって胸骨は持ち上げられ支えられます。プレートの両端は肋骨の上に乗るように位置し、プレート固定具を取り付ける事により位置ズレを防ぎ安定します。
弊社の胸骨挙上用チタン合金製プレートと一部の手術関連アクセサリーの製造は、国内工場で行なっており、日本人の体格に適応した豊富なサイズバリエーションで、ドクターの声に応えた高品質で洗練された製品の販売をしております。 今後、ますます低侵襲漏斗胸手術の為に独自開発を行った弊社プレートの普及が期待されております。これからも常に最先端の医療のニーズにあった様々な製品を提供していきます。
④ 陰圧吸引治療法
近年、ドイツで開発された「バキュームベル」を弊社で販売開始しており、軽度な漏斗胸患者様が適応となります。胸部体表に付属のゴムポンプで陰圧をかけて吸引力で胸壁を持ち上げます。
1日:朝・夜60分/2セットを3年行います。